トイアンナ氏のnoteが納得できない

トイアンナ氏の「フェミニズムが女を殺す」のnoteが納得できないので、反論書く

note.com

 

 

 

noteの論旨

この記事の後半部分(「問題はツイフェミではなかった」以降)の論理はこういう形だ
【主張】日本のフェミニズムには強い危機意識を覚える
【理由】なぜならフェミニストを名乗る人が女性の権利を制限し、保護される存在として女性を貶める試みを繰り返していたのを多く見たからだ
【試みの例1】宇崎ちゃんのイラストをセクハラとして扱った
【試みの例2】茜さやにたいして「胸が大きい=卑猥」と、多くのフェミニストが批判している
【試みの例3】アイキャッチのポスターにクレームして取り下げさせる
【試みの例4】男性DVに関するネット記事内で、女性の暴力を取り上げる際に、女性を男性の庇護下に置くような論調で書いている

 この記事の主張は①アンフェアだし、②そもそも例が適切でない、と思う

フェミニストを名乗る人たちは、権利の拡充を目指す運動を行っている。その活動を取り上げないのは、アンフェアではないだろうか


【活動1】「生理の貧困」の運動
https://togetter.com/li/1676872
とかを見ると支援者に「フェミニスト」を名乗る人が結構いる。
さらに、生理の貧困で大きな活動をしている団体「#みんなの生理」はおすすめ本にフェミニズムの本を入れているhttps://minnanoseiri.wixsite.com/website

 

【活動2】選択的夫婦別姓の導入推進
団体を作って活動されている方はフェミニストであることを自認している
https://twitter.com/nana77rey1/status/1235100268284375040

 

【活動3】医学部入試の女性差別への訴訟
医学部入試における女性差別対策弁護団の共同代表の一人、角田 由紀子氏はフェミニズムに基づく視点から弁護活動などを行っている
https://fairexam.net/

 

これらの活動を見れば、「女性を保護を求めるだけの存在だとバカにされることを、フェミニズムが助長している」とは言えないのではないか。

 

②「保護される存在として女性を貶める試み」の例が適切でない

【例1】宇崎ちゃんの例は、当初はセクハラではなく、TPOの問題として批判されている
少なくとも、最初にこのポスター言及した2名に関しては、「巨乳女性のイラストがセクハラ」ではなく、「TPOを考慮して表現を選べ」という話をしている。
https://togetter.com/li/1417228?page=2
とはいえ、この話題は物凄く論争が広がって、色んなツイートが出まくったので、変なことを言っているやつがいっぱいいるのも同意する。


【例2】茜さやに対して「胸が大きい=卑猥」的な批判をした人は1~2名
批判する人のまとめサイトを見ても多くはない。
https://togetter.com/li/1457440
noteの中では「「一部」の「過激」なフェミニストだけならよかった。しかし、そこで世間からも信頼される人たちがどんどん参加してしまった経緯があった」と書いてあるが、
そうなら批判者のまとめサイトに「世間からも信頼される人たちがどんどん参加」した様子が、もっとまとめられていそうなものだと思う。
ちなみに、件の太田啓子は「胸が大きいことが問題なのではなく、TPOをわきまえない表現をしていることが問題」とリツイートしている
https://megalodon.jp/2020-0130-0759-05/https://twitter.com:443/katepanda2

【例3】そもそも筆者の主張を誤読している
これに関しては、下記の連ツイに書いてある

mobile.twitter.com

 

【例4】そもそも女性の権利制限なんて書いてない
この文章は、ジェンダーの専門家が男性の相談をもとに書いた記事だ。
文章の内容を要約すると、「在宅勤務になるようになり妻からDVを受けるようになった。夫は、【仕事でも育児でもたよれる良い夫】になろうとしたが妻の収入が自分を逆転したことを機にそうなれないことが明確になったことが原因でモラハラをするようになってしまった。それが妻のDVへと結びついたと考えている」というもの
焦点になっているのは「理想と現実のギャップに苦しむ男性」である。記事にあるような「女性は庇護する存在だから殴られて良い」という認識はどこにも書いてない。

 

トイアンナの記事に書かれている「女性を貶める試み」の多くは彼女の誤読に基づいているように思う。
少なくとも、この人のnoteに書かれた「例」から「フェミニズムが保護される存在として女性を貶めている」とは読めない。

 

付記

さらに、note内にある「責任を果たさずに権利ばかり求める」という記述は危険ではないか。
このnoteには「責任とは具体的にどういう責任を言っているのか」「その集団にどのような責任があるかを誰が決めるのか」は書かれていない。
マジョリティがマイノリティに対して無制限に「責任」を課すことで、権利の主張を制限させることができる、危険な考え方だと思う。