「野球離れ」を食い止めるにはまず調査では?

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上記事では、少子化よりも早いスピードで進行する小学生・中学生の野球人口減少について、懸念を示している。

そもそも野球人口が減っている原因は何なのだろうか。文中では下記のように言及されている。

原因としては、地上波でのプロ野球中継の激減、野球ができる遊び場の減少、格差社会が進行する中での親の負担の増加、競合するスポーツの増加、そして「昭和の体質」が抜けない野球のイメージ悪化、などが考えられる

 

もちろん、それぞれが原因である可能性は高いが、より重要な要因を特定しなければ、効果の高い施策を実施することはできない。例えば、低下を食い止める策として子供向けの野球教室等を取り上げているが、本当にそれは対策として効果的なのだろうか?

子供向け野球教室が効果的な状況は「子供たちが野球をやることの楽しさを知らない」という状況が野球離れの主要な原因になっている場合だ。しかし、いくつかの記事を見てみると他の要因のほうが大きいのでは?という疑いが出てくる。

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 上記の記事では、子供が少年野球に前向きだとしても、金銭的・時間的な負担の大きさから両親(特に母親)が敬遠している様子が書かれている。もしこれが主要な原因であれば、子供に野球教室をやっても野球離れの改善は難しい、

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この記事では興味深いことが書かれている、小学生〜高校生までの野球人口は減少傾向にあるが、大学では増加傾向にあるというのだ。

中学、高校とは対照的に、大学硬式の部員数は増加している。2007年の2万人から2018年には2万9千人に増加(45%増)し、過去最大になった。なお、日本人男子の大学進学率は増加しているが、少子化の影響もあり、大学に進学する男子数自体は増えてはいない。

 大学生は高校生以下の年齢と違い親が金銭的・時間的な負担をほとんど負っていない、と予想される。とすれば、ますます「少年少女ではなく両親が野球を避けている」という可能性が高くなる。

 

ここまで書いてきたことはすべて仮説だ。しかし、こう考えると、「野球離れのメカニズムについてよくわかっていない」ということがわかる。だから、野球離れを防ぐための次のステップは「子供に野球を習わせることをやめてしまった親へのヒアリング調査」や「野球以外の習い事(特にスポーツ)をさせている親へのヒアリング調査」であるべきだと思う。しかし、調べたところそういった調査はおろか、高校生以下の野球人口について全体を把握している組織すらないらしい。そのような状態では、情報の共有もできないだろうし、改善は難しいだろう。

最初の記事にも書かれていたように、野球の競技人口減少を食い止めるには、プロから小学生まで各組織が連携することが必要だ。そしてなによりも現状の把握が必要である。