書評:ハックルベリー・フィンの冒けん

 

ハックルベリー・フィンの冒けん

ハックルベリー・フィンの冒けん

 

 

トム・ソーヤーの冒険」は子供の頃に何回か読んだ。しかし続編であるこれは初めて読んだ。

記憶にある「トム・ソーヤーの冒険」と比較して、皮肉めいた物語は減り冒険の疾走感が非常に高まってるように思う。あとがきでも書かれていたように「トム・ソーヤー」が三人称の物語なのに対して本作は一人称。ほとんど無学で万事を即興で乗り越えるハックルベリー・フィンの語りだからこそのグルーブ感だと思う。

そして柴田元幸の翻訳が実に素晴らしい。ハックルベリーは聖書や偉人伝を誤って覚えていて、それを共に旅するジムに物知り顔で伝えるのだが、そこのおかしみが、難しい漢字は全部ひらがなになっている訳文とマッチしている。