ベビーシッター利用を批判する筋違い

ベビーシッター紹介サイトを通じてベビーシッターを利用したところ、預けた子供が死んでしまうという事件が起こった。

 

このシッターには厳正な処罰を望む。一方でこの事件を契機に「やっぱりシッターを利用させるなんてよくない」という風潮が生まれることを危惧している。

 

子育てする家庭には様々な事情がある。皆が皆24時間子供に付き合っていられるわけではない。仕事があるかもしれないし病気にかかるかもしれないし、育児にひどく疲れてしまうかもしれない。その時子供を一時的に親や知り合いに預ける事ができる環境ならば問題ないかもしれないが、そうではない家庭だって多くある。その時、ベビーシッターが利用可能であるということは非常に便利なはずだ。

 

少子化を解消したい、と本当に思っているなら「子育てできる最低条件」を下げるような環境づくりを整備するべきだ。今の日本では、心も体も超人的に強いか、「片方が世帯年収+子供の養育費を稼ぐことが出来、もう片方が24時間子供に付き添っていられ、友人や両親など一時的な預け先が近くにある夫婦」という非常に限られた人たちだけが、安定した子育てができるような状態だ。少しでもこの条件から漏れると安心して子育てができない、しかも育児の責任はすべて親に帰属される、とわかっている環境で子育てをしようと積極的に思えるだろうか?  スーパーマン(スーパーウーマン)か恵まれた環境に生まれないと子育てが出来ない社会では少子化になるのは当然と言えるだろう。

 

今回の事件もきちんとした分析を行って、シッター利用をするような子育て家庭に対してどのような支援をするのがもっとも適切かを調査するべきだ。そうでなくては死んだ子供さんがあまりにも浮かばれない。